Story

ごあいさつ

Aiersi Guitar(アイエルシ ギター)日本正規代理店Aiersi Guitar Japanに興味を持っていいただきありがとうございます。私はクラシックギターを弾くようになって20年以上になります。5万円台の入門ギターからスタートし、十数万円のメーカー製ギターにステップアップ後、最終的に数十万円の国産手工ギターを所有するまでになりました。通っていたギター教室の生徒の中では一番音がいいと言われていたので、それなりに耳はいいほうだと思います。20年以上ずっと継続してギターを弾いていたわけではなく、仕事が忙しかったりしてブランクのほうが長いのですが、それでもクラシックギターが好きで、思い出したように弾いていました。

ギター探しの旅

手工ギターはとても良い楽器なのですが、音響特性を追求しているため、塗装が薄く表板に傷が付きやすかったり、取扱いに注意が必要で気軽に弾ける楽器ではありませんでした。例えばソファに立てかけておいて、いつでも手にとって弾くような用途には向いていません。ここ数年はもうちょっと気軽に扱えて、しかも音が良い楽器を探していました。
そこで取扱いやすさと音の両立を求めて、プロギタリストからの評価も高かった某メーカー製の薄胴のカッタウェイのエレガットを購入しました。評判通り取扱いやすく、生音も良い楽器だったので2年ほど楽しく弾いていました。
私はボサノヴァのソロを好んで弾くのですが、たまにクラシック曲も弾きます。本格的なクラシック曲を弾く時になると、ナット幅がクラシックギター標準の52mmに比べて50mmと少し狭いせいか、フィンガリングで音が出にくい場面が出てきました。

Aiersi Guitarとの出会い

やはり本格的なクラシックギターが欲しくなり、再びギター探しが始まりました。そこで出会ったのがAiersiのクラシックギターです。メーカーサイトを見ると価格の割に使われている材料や作りが高品質で評価も高いことが分かりました。
さらに調べていくと、最初は目を疑ったのですが、何とラティスブレーシングが採用されていました。

ラティスブレーシングは30万円〜100万円以上が相場の個人製作家による手工ギターで採用されることが多く、メーカー製のギターで採用されることはほぼありません。Cordoba製でラティスブレーシングを採用したモデルが存在しますが価格は30万円以上です。Aiersiでは何と約10万円台で販売されていました。

Guo Yulong氏の製作主導体制

10万円台で購入できるラティスブレーシングのクラシックギターなど見たことがありません。最初は本当に大丈夫なのか疑いましたが、程なくしてその不安はなくなりました。Aiersiのマスタールシアーはダブルトップギターの製作で有名な名工Guo Yulong(グオ・ユーロン)氏だったからです。彼の名声は言わずもがなですが、2018年、スペインのグラナダで開催された第2回「アントニオ・マリン・モンテーロ国際ギター製作コンクール」で、氏の作品「グラナダ」モデルが2位を獲得。これは中国のギター製作者として最高の名誉とされています。

ダブルトップに代表される、現代的なクラシックギターのニーズに応えるGuo Yulong氏が製作を主導しているなら、ラティスブレーシングを積極的に採用していることも納得できました。これは品質にもかなりの期待ができます。

Aiersiのギターがやってきた

意を決して購入に踏み切りました。選んだのはカナダ産シダートップ、ローズウッドサイド&バックのモデルで当ショップで販売している「SC02CRB-J」になります。ボサノヴァではコードを弾きながらメロディーも弾くのですが、杉のギターの和音の響きが好みだったからです。購入時の対応は良く、思ったより早く届きました。

梱包を解き姿を現したギターは、とても見た目が美しく精度が高い作りでした。糸巻きも凝ったデザインです。注文時は見落としていたのですが、ブリッジはダブルホールになっており、これも手工ギターで主に採用される方式で、音質面でレスポンス、サスティーンを向上させ、弦交換が簡単になります。とても10万円台のギターとは思えない作りです。

初めてのラティスブレーシング

ラティスブレーシングのギターを弾くのは人生初だったので、はやる気持ちを抑えながらチューニングして、弾き始めた途端「なんじゃこりゃー!」と思わずのけぞりました。これまで所有してきた伝統的なファンブレーシングのギターとは一線を画する鳴りにびっくりしてしまいました。はっきり言って数十万円の手工ギターより鳴ります。軽いタッチでもしっかりと音が鳴ってくれます。
まずは音量の大きさに驚いたのですが、それだけではなく、音の広がりも今まで体験したことのないものでした。サウンドホールから音がフワーっと拡散して空間を満たしていくように感じます。これは倍音の豊かさからくる恩恵のようです。加えてサスティーンが長く音がよく伸びるので、ソロパートがとても気持ち良く弾けます。音の広がりとサスティーンの長さが相まってリヴァーブが効いているような感覚にもなります。弾いていてとても気持ちが良いです。

音質的には低音はパワーがあり、豊かな中音域、高音は芯があり伸びやかです。ラティスブレーシングの特徴の一つであるレスポンスの良さも備わっていて、軽いタッチでも音の立ち上がりが良いのでプリング、ハンマリングの音が出やすいです。これは初心者の方も楽しく弾ける要素だと思います。加えてネックが薄く作られており、弦高もクラシックギターの標準値よりも低く設定されていて弾きやすいです。

本当に弾いていて楽しいギターなので、ずっと「SC02CRB-J」ばかり弾いています。なかなか言葉では伝わらないと思いますので、近日中に演奏動画をアップしたいと思います。

メンテナンス性も高い

前述のブリッジのダブルホールによる弦交換の容易さに加えて、クラシックギターには珍しくトラスロッド内蔵です。日本のような高温多湿な環境ではネックの安定性を保つのにトラスロッド内蔵はありがたいです。私もかつて所有していたギターでネックの反りに悩まされたことがありました。クラシックギターは基本的にトラスロッドがないのでネックアイロンで修正してもすぐにまた反ってしまいます。トラスロッドがあれば簡単に調整ができます。初心者の方は自分で調整せずにプロに任せることをお勧めしますが、トラスロッドの調整であれば費用も安いです。

Kenny HillやGreg Smallman、Kris Barnettといったモダンなクラシックギターの製作家はトラスロッドを積極的に採用する傾向にありますので、Guo Yulong氏率いるAiersiのクラシックギターもモダンなクラシックギターの設計の一部として積極的に活用されているのではないでしょうか。

日本正規代理店として

Aiersiのクラシックギターにすっかり魅了されてしまいまして、このギターを弾くことの楽しさを多くの方に体験していただきたく、この度、日本正規代理店としてAiersiのクラシックギターを販売させていただくことになりました。

本来30万円以上するラティスブレーシングのクラシックギターを、何とか10万円以下で販売できるように、メーカーの担当者と何度もやりとりを重ね価格を設定しました。

この価格が実現できたのは、ラティスブレーシングを始めとするモダンな技術を盛り込んだ、革新的なクラシックギターの製造工程を可能な限り自動化し、高品質な材料を大量に調達してコストを抑えているAiersiの企業努力によります。
Aiersi(アイエルシ)のクラシックギターを多くの方に手に取っていただき、クラシックギターを弾くことの楽しさを味わっていただきたいと思っています。